さすがに10年目ともなると、義父のお迎えも慣れて簡素化しております。
どっちかというと、顔も知らないご先祖様の方が熱心になるけれど、生前あんなことやこんなことがあった義父だとどこか甘えが出てしまう。
お供えも義父のためにというよりもわたしが食べたかったから作った珍珠丸子くらいで、あとは義母にまかせっきり。
義母自身も、あまりこういうことに詳しくないから『ご先祖が~』とか『代々の~』とか『この地方では~』がない。
大好きだった人が帰ってきてるから美味しいものをお供えしましょうかね~くらいのライトな感じ。
お中日の朝、義父のところにお線香をあげに行き、りんを鳴らしたら鈍い音が。
あれ?
いつもは澄んだ音色なのに?
義母と二人で、りんりん鳴らしても、なんかとっても鈍い音。
実はその時、お線香をあげようと思ったけれど風か強くて危ないのでりんだけ鳴らして終了にしようと思ってたの。
あら~。
お舅さん、怒っちゃったかね。
慌ててお線香をちゃんとあげてから、りんを鳴らしたら次はちゃんと澄んだ音になりました。
義母と顔を見合わせて、『相変わらずいたずらっ子だねぇ』と笑いました。
短い滞在を終えて、義父は帰っていきました。
また、来年も珍珠丸子を作るからね。
いたずらをしに帰ってきてね。