8月。
うちの旦那さんがとにかく猫好き。
そのせいか、我が家に遊びに来る自由猫さんがいます。
その中にキジ白の成猫♂君がいました。
足元の白が靴下に見えたので、『クツシタ』と呼んでました。
まだ、去勢していなかったのでTNR活動をしているご近所の人と協力していただき保護し、手術して、元居た場所に返しました。
さすがに、もううちに来ることは無く、ちょっと行った先のお宅で可愛がられている姿を目にするようになりました。
その幸せな姿を見るたびに、よかったなって気持ちとちょっと淋しい気持ちになったものです。
それから何年かたって、一匹だった『クツシタ』にものすごく美人猫のパートナーがやってきて、とても仲良く暮らしていました。
そして、今年の8月のある日。
いつもはうちの前をちょろっとパトロールするだけの『クツシタ』がうちの中まで入ってきて、ニャーと鳴きました。
その姿は、痩せて鳴き声にも元気がなく、それは別れの時間が近いことを感じさせるものでした。
でも、さすがにそのままにして置くわけにはいかないので、お世話になっているお宅に送ることにしました。
最初は自分で歩いて向かっていきましたが、途中で疲れて座り込んでしまい、そーっとバスタオルで巻いて抱っこしました。
最初は戸惑ったようでしたが、ほどなく、身を任せてくれました。
久しぶりの猫の重み。頬づり。その体重の軽さ。
涙が流れて、止まらなくて。
でも、お世話になっているお宅に近づくと私の腕から降りようとしました。
その場所は車の通りが多いところだったので、少しぎゅっと抱きしめ、そのお宅の家の前まで送りました。
そして、そっと降ろすと、『クツシタ』は振り向きもせず、そのお宅の中に入っていきました。しっかりした足取りで。
それを最後に『クツシタ』の姿を見ることはありません。