NHK総合 ドラマ10 『半径5メートル』
全話を通して面白いドラマでした。
4話だけ、ちょっとだけ、引っかかったところが有りました。
女性週刊誌の編集部のお話で、主人公の風未香はスクープ撮りに失敗して2折に配属になります。
そこは生活情報を取り上げる部署で、日常的な自分の世界の半径5メートルの関心ごとを扱う。
その部署に北村有起哉さん演じる海老原香織がいて、その人は元は男性で結婚し娘もいたんだけれど、やっぱり女性として生きることに決めた人。
4話は香織さんと父親とは知らずSNSでやり取りしている香織さんの娘さんのお話でした。
色々あって、女性として生きていることを娘にカミングアウトした香織さん。
そして、娘の怜奈から、『自分の好きな人は女性だ』と告白されます。
その時の香織さんの表情が秀逸でした。ほんの一瞬、ビクッとして複雑だけど何も言えない。
香織さんとしての気持ちはどうなんだろう。
対象が異性だろうが同性だろうが、愛するという事は素晴らしい。
自分自身がジェンダーの問題で色々と苦しんで生きてきたんだから、娘は愛したい人を存分に愛せばいい。
香織さん自身が自分の好きに生きているんだから、奥さんも娘も捨てて自分の生き方を選んだんだから、娘だって好きに生きていいんだ。
そう頭ではわかっていても、『父親』の気持ちはどうなんだろう。
その一瞬の表情の中に『父親』のエゴを見た気がしました。
『普通』とか『世間』とか『多数派』に傷つけられてきた自分に当てはめると、娘にはそんな茨の道を歩かず、『普通』に結婚して『世間』の中に溶け込み、『多数派』でいて欲しかったんじゃないか。
もしかしたら、自分が幼いころに居なくなったせいで傷をつけてしまったせいか?なんて責めてしまうかもしれません。
私はジェンダーで悩んだことがないし、親になったことも無いので、その複雑な心内はわかりません。
たくさんの家族がいて、親がいて、子供がいて、その人達それぞれの価値観でいいと思う。
ただ、今はその変化の渦の中にいるんだなぁとしみじみ思う。