wowowで放送された映画の感想を書いています。
回し者ではありません(笑)
あちらにいる鬼２０２２年
原作 井上荒野
出演 寺島しのぶ
詳しい内容は↓
残念ながら原作者も原作者の父上でこの物語のモデルでもある井上光晴も読んだことがなく、読んでみたいな～と思っていたら先に映画を見てしまった。
題名からして、家庭を顧みない父親と耐えるだけの母親と奔放な浮気相手とのメラメラした地獄のような生活の中に鬼をみるのかな～と思ってたんですが、そうでもない。
父親は妻と子供たちとその生活を愛しているし、母親もそんな夫を愛していて、奔放だと思っていた浮気相手の方がなんとも悲しい愛を乞う人。
妻にしてみれば、夫である作家は手に負えない子供のようでもあるし、受け止めるには大きすぎる男でもあるからちょっとばかりほかの女性に目移りしてくれれば、自分の負担も減るから楽なのかもしれない。
男は家庭を捨てない、どんなにほかの女性と関係をもっても必ず帰る場所は家庭。
愛されていることに絶対的な自信を持つ者の罪のない傲慢さ。
ちなみに、その母親役が広末涼子さんという皮肉にぞっとする。
この役を演じている時の気持ちはどうだったんだろう。
夫を奪われる妻の気持ちを役を通して疑似体験しているはずなのに、夫を奪う側に回る心の強さ。
家庭という深い楔すらも引き抜く腕力でもって、自分の欲しい男を手に入れようとしている、その情熱はどこからくるんだろ。
そうか、その情熱が鬼なのか。
だから、映画の中の浮気相手である作家（モデルは瀬戸内寂聴）は、その鬼に囚われる前に仏門に入ったのか。
ならば、彼女はその鬼に囚われたのか、彼女そのものが鬼なのか。
今週のお題「ゾッとした話」
