風日晴和

毎日楽しく忙しく

いつかのご縁を楽しみに。

おととい、仕事場の社員さんが退社することになったのでと、ご挨拶に来てくれました。

 

一時期同じ部署で働き、その後、いろんな部署に配属されたり出向になったりと会社の都合に振り回されていました。

それでも、粛々と仕事をこなす姿がありました。

行く先々で変な噂を流されてました、悪意のある嫌な噂。

わたしはその人がとっても好きだったので、噂なんか信じなかった。

目の前にいるその人を見ていたから。

 

震災の時、パートは自宅待機でしたが社員さんは余震と砂埃の中仕事をしていました。

同僚パートに声を掛け、お菓子をもって陣中見舞いに行くとその人はそのことにとっても喜んでくれて、後日、『感謝の気持ち』だと言ってお菓子をくれました。

ほかにも社員さんはいたけれどそんな風に喜んで感謝の気持ちを伝えてくれた人はいません、その人だけ。

優しくて繊細な人だったのです。

 

そんな頭が良くて優しくて繊細な人が、会社の悪意ある都合に振り回されているのを見て、『家族のために頑張って仕事をしているんだ、すごいな。無理しないでほしいな』とずっと思っていました。

今年に入って、かなり理不尽な人事でわたしたちの部署に近い部署に移動になりました。

その部署はその人のキャリアとはかけ離れた仕事で、さすがに辞めちゃうんじゃないかって思ったほど。

それでも、やっぱりその人は粛々と仕事をこなしていました。

 

そんな中、わたしの部署の上司だった社員が偉いさんと喧嘩して辞めてしまいました。

呆気にとられる間もなく、仕事は山積みになり、どうにもこうにもならないほど忙しい時、新しく上司になった社員さんと同僚パートがCOVID-19で出勤停止になり、仕事の段取りをわかっているのがパートのわたし一人だった日がありました。

 

その時もその人は手助けに来てくれました。

 

そんな人だったので、辞めると聞いたときはすごくショックを受けてしまいました。

なので、ただ今までのお礼しかできませんでした。

 

 

後日、仲の良かった人からとても前向きな退職で、次の職場も決まっていてそれはやりたい仕事だったから楽しみだと言っていたと聞きました。

 

せっかくお別れの挨拶に来てくれたのに、思っていたことの一つも話せないまま。

多分、もう2度と会えない人。

 

人との別れは初めてではないけれど、50歳を過ぎたころから定年退職やらなんやらで離れていく人を送るとき『ああ、この人にはもう2度と会えないんだな』と思うようになりました。

 

縁あって同じ場所で働いて、すれ違うと挨拶して、たまに軽口をたたきあう。

そんな当たり前の日常が無くなっちゃうんだなぁ。

 

すっごく仲が良かったわけじゃないし、住所を聞いたりLINEを交換するほどじゃない。

2度と会えなくたって、お互いの人生になんの支障もないけれど。

 

人生を半ばを過ぎて、(100歳まで生きるつもりか笑)誰かと出会ってその関係を構築する根性も体力も無くなりつつある今、縁あって出会った人との縁が切れてしまう淋しさとほんのちょっとの切なさ。

 

袖振り合うも多生の縁っていうからさ。

いつかまた会えるご縁があったら、その時はわたしのお気に入りの和菓子紹介するね。

絶対に気に入ると思って、いつか、食べさせてあげたいってずっとずっと思っていた美味しい柚餅子があるんだよ。

 

いつかのご縁を楽しみに。